京都 蔵丘洞画廊

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絵と人に出逢う

中西良先生の昨今

2022年4月20日


本日(20日)発売の【月刊美術5月号】表紙に中西先生の作品が登場しました。
中西先生と言えば、東京藝大卒業されてすぐに昭和会賞を受賞しイタリア留学から帰国後の日動画廊の個展と、華々しい活躍が記憶されます。
作品は街路樹を見上げ、葉の間から差し込む陽光の陰影を描くような独特のモダンなセンスが光る作風で、風景画を描いてもどこか色彩の区分を意識した知的な絵画でした。
その後しばらく江ノ電や雷門などのノスタルジーを感じさせる場所をテーマに取り組まれることがありましたが、イメージが固定化された場所を描くことは氏本来のセンスが生かし切れないように感じていました。
しかし、かえってこのような経験をすることで、彼のなかに自身が取り組むべき方向がはっきり見えたのでしょう。
昨今の新しいシリーズは多くのモノから解き放たれて脱皮したかのように、彼の持つ息遣いが感じられる絵画となっています。
今と云う時代を生きる中で、それぞれの画家は自分流に感じた感覚を表現することこそ、本来取り組むべきことです。この度の表紙絵を見て中西良という作家は、ついに彼流の眼鏡で捉えたものを描き、のびのびとした自己表現を獲得したと思いました。
現代の空間にマッチする絵画として、彼の仕事はますます注目されるでしょう。