京都 蔵丘洞画廊

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絵と人に出逢う

何ということ!やはり人間は精神で生きている。

2021年5月29日

上田泰江さんは昨年自宅で倒れて遂にデイサービスを毎週受ける身となって早々に画廊に連絡してきた。もうこんな状態ではとてもプロとして充分な制作が出来ないと思うので、画家としての人生に区切りをつけます。と言う。
確かに90歳でもあるし仕方ないとは思ったが、それにしても女性にありながら男らしい潔い決断と理解し、アトリエに残された作品のうち完成していると思われるものを購入させていただくことにした。

そして年が明け2021年4月に彼女の決断をお知らせする最後の展覧会を開催した。ところがこの展覧会がNHKの方に興味を持っていただくきっかけとなった。
そして先日再びこの五月晴れとはいかぬ梅雨空の下、ディレクター氏らと綾部の山里を訪ねた。

なんと!あれからいつの間にかすっかり回復した作家は、今までにないほど力強い40号や30号の力作を前に照れているではないか。
体力が回復したら絵を描かずにいられないらしい。その場で思わずコレクションさせてくださいと購入を決めた。

早速6月のNHK放送で紹介していただくことになった。どうやら今後も続いて、巡る四季のなか画家の生活を撮影して、より長編に仕立てていただけそうとのこと。彼女の生き様、絵画を生み出す源泉を映像で感じる方が増えると、その芸術にも理解が深まるのではと期待するところです。
田舎暮らしの無名のおばあさんに日が当たるか、グランマモーゼスみたいに。

 

蔵丘洞主人 岡拝