京都 蔵丘洞画廊

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絵と人に出逢う

2007年5月8日

倉敷の大原美術館へ久しぶりに出掛けた。

連休中のこともあり、駐車場を探すのに2時間かかった という混雑振りだった。

無論これはすべて大原美術館を目的とする人手ではなく、チボリ公園などを目的とされる方もあった筈だが、それにしてもすごい人混みのなか美術館入口までたどり着いた。

館前のお堀には屋形船に乗った太古団が賑わいを盛り上げて一種のお祭騒ぎの広場と化していた。

館内も想像通りの人混みのなか、いくつもの名画と再会したが、どうも後味が良くない。

たとえが悪いが、美味しい料理をいっぺんに臭いだ様なもので、口に含んだ味わいが無いという鑑賞となった。

そこでやはり絵画鑑賞は多くを味わう必要もなく、ひとり交歓する出会い方が正しいと思う。

有名無名も関係なく、ひとりの人間が描いた世界に、ひとりの人間として対峙するものである。心頭滅却すれば火もまた涼しの境地になれば、人混みでも問題なないのであろうが、やはり凡人のつらさ肩越しの鑑賞では・・・

そこで工芸館へ回ってみると案外人が少なく、やはり知名度の差は営業的に?大きい。

民芸の代表的な作家達の優品と伝統的な諸工芸品の用と美に触れ、改めて日常生活のなかに生きる美を意識する。

日本人はまじめに学習することが好きだ。

近頃は、自分流も大切との自己満足を胸に仕舞いながら、みなと同じようなブランドに身を包み横目づかいで生きている。

美術展も絵の知識があるとか、皆が行くからじゃなくて、一人でぶらりと立ち寄ってほしい。

実のところそんな人がつぶやく『こんな絵嫌い』の一言が楽しみ。驚きや感想を持つことがいい。だって私は多くの人が『いいですね』と微笑んでくれた作品は決して売れないことを知っているから。

文責 岡 2007.5.8